肝炎で障害年金を請求する場合のポイント
1 肝炎の障害認定基準について
肝炎で肝機能に障害が出ている場合には、「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」の中に記載されている「肝疾患による障害」の基準で等級が認定されます。
そのため、肝炎で障害年金を請求する場合には、まずは肝疾患による障害の認定基準を理解することがポイントとなります。
まず、障害認定基準では「肝疾患による障害の程度は、自覚症状、他覚所見、検査成績、一般状態、治療及び病状の経過、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定する」とされています。
もっとも、この基準だけでは抽象的過ぎて判断の目安にはなりにくそうです。
そこで、より具体的には、①血清総ビリルビン(mg/dℓ)、②血清アルブミン(g/d ℓ)(BCG法)、③血小板数(万/μℓ)、④プロトロンビン時間(PT)(%)、⑤腹水、⑥脳症といった指標の検査結果と、一般状態区分表という日常生活や就労における支障の程度をスケーリングする指標との組み合わせで、障害の等級を認定する仕組みになっています。
なお、この検査結果については、単に一番悪い時のものを提出すればいいというものではなく、「検査成績は、その性質上変動しやすいので、肝疾患の経過中において最も適切に病状をあらわしていると思われる検査成績に基づいて認定を行うものとする。」とされていることに注意が必要です。
その上で、各等級に相当するものが例示されており、2級に相当するものは、検査成績及び臨床所見のうち中等度又は高度の異常を3つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のエ(身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの)又はウ(歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの)に該当するものとされています。
2 初診日の特定について
肝炎の場合、長期間にわたって徐々に症状が進行してくることが少なくありません。
障害年金では、年金保険料の納付要件の確認や、障害基礎年金と障害厚生年金のどちらになるかという観点から、初診日が非常に重要な意味を持ちます。
長期間にわたって徐々に症状が悪化した結果、障害年金を申請することになった場合には、初診の医療機関がすでに記録を廃棄していたりして、初診日の証明が困難になるケースも少なくありません。
そのため、初診日に関する証拠収集や調査に力を入れなければならないという点も、肝炎で障害年金の請求をする際のポイントとなります。