喉頭全摘出手術で障害年金を申請する場合のポイント
1 喉頭全摘出手術後の障害年金申請にあたって
喉頭がん等を理由に喉頭を全摘出する場合には、言葉を話すことと食べ物を飲み込むことに不自由が生じます。
術後の症状について障害年金の申請をする場合、①申請が可能となるタイミングが通常の申請と変わる場合がある、②複数の障害で等級に該当する可能性がある、という点がポイントとなりますので、以下にご説明いたします。
2 申請可能なタイミングが変わる場合がある
障害年金の申請ができるのは障害認定日以降であり、障害認定日は原則として、初診日(障害の原因となった病気やケガで最初に医療機関を受診した日)から1年6か月が経過した日です。
喉頭全摘出手術をするまでに、がん等の症状で初めて受診してから1年6か月以上経過している場合には、原則通り初診日から1年6か月後が障害認定日となります。
しかし、喉頭全摘出手術を初診日から1年6か月経過する前に行った場合には、手術をした日が障害認定日となる特例があります。
そのため、例えば初診日から半年程度で喉頭全摘出手術を行った場合には、約1年後の原則の障害認定日を待つ必要はなく、直ちに障害年金の申請ができる状況となりますのでご注意ください。
3 複数の障害で等級に該当する場合がある
喉頭全摘出手術を行うと声帯を失うため、少なくとも一時的には発声機能を失うことになります。
この障害の認定の仕方は、障害認定基準の「音声又は言語機能の障害」に定められており、喉頭全摘出手術をして発音にかかわる機能を喪失した場合には、原則として2級に該当します(音声又は言語機能の障害に1級はありませんので、単独では2級が最上位等級となります。)。
加えて、喉頭全摘出手術を行った場合、嚥下障害も併発します。
障害認定基準は「そしゃく・嚥下機能の障害」の等級認定についても定めており、嚥下障害の程度に応じて等級が認められる可能性があります。
障害年金の審査は提出された書面によって行われるため、現実に複数の障害があるとしても、それらの症状を反映した診断書を提出しないと適正な判断をしてもらえません。
喉頭全摘出手術で障害年金を申請する場合には、発声の障害と嚥下の障害の両方の症状を診断書に記載してもらう必要があります。
4 複数の障害で等級が認定された場合
同じ病気やケガから生じた複数の障害で等級が認定された場合、それらを合わせて最終的な等級を認定することになっています。
これを併合認定といいます。
喉頭全摘出の場合、上記3のとおり、音声又は言語機能の障害とそしゃく・嚥下機能の障害で等級に該当する可能性があり、どちらも2級に認定された場合には、併合して1級に認定されることになります。
























